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【小物もドレスも】デザインをパクるのは違法かどうか、弁護士先生に聞いてみました!

きゅん
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似たものを作ったらパクリ?

こんにちは、marry編集長の津崎春乃です。

先日、花嫁さんからこんなお問い合わせをいただきました。

(個人を特定できるような内容は全て伏せます!)

*****概要*****

marryさんに質問です。

私の友人であるAさんは、手作りのウェディングアイテムの販売をしています。

先日、そのアイテムに似たデザインのものを別人のBさんが販売しているのをインスタで発見してしまいました。

時系列的に、Aさんのほうが作り始めたのは先だと思います。

BさんはAさんのパクリで、著作権侵害に当たるのではないでしょうか?

**********

ウェディングのジャンルにとどまらず、世の中にはたくさんの商品が存在しますよね。

会社が作って販売しているもの、ハンドメイド作家さんが作って販売しているもの、個人的に楽しむために作っているもの。

その中にはもちろん、同じようなデザインだったりジャンルの商品・アイテムもたくさんあります。

そういうのは、全て一番最初に作った人以外は「パクリ」になってしまうのでしょうか。

「これはパクリだ!」と糾弾してよいものなのでしょうか?

弁護士の先生に聞いてみました。

Q1:世の中に既にあるデザインを真似することは違法なのでしょうか?

〈弁護士回答〉

まず、「デザイン」と「アイデア」の違いからご説明します。

日常生活では「デザイン」と「アイデア」の違いを明確に定義して使い分けることは少ないと思いますが、著作権などの法律の観点からいうと、この二つは全く異なるものです。

「デザイン」は独自の工夫をした芸術活動によって表現されたもの。絵画や彫刻、写真などをイメージすると分かりやすいです。

表現された「デザイン」を模倣することは、著作権侵害となる可能性があります。

著作権とは、事前登録不要で、創作した(表現された)時点で発生する権利です。

創作活動などを保護することで文化の発展に寄与することが趣旨です。

一方、「アイデア」それ自体は表現された創作物を指すものではなく、思想・感情・情報などの一種で着想のことを指します。

「アイデア」それ自体については、著作権で保護されません。例外的に、特許や実用新案として登録されたものが保護されます。

世の中、特に産業(商業)は、過去のアイデアを昇華・進化させることによって進歩してきました。

今身の回りにあるスマホや家電だって、先人の発明のアイデアを各社で競争し、進歩させてきたものです。

他人が登録した特許権や実用新案権を侵害する場合は違法ですが、それ以外の他人のアイデアを真似することは違法ではありません。

Q2:「デザイン」と「アイデア」の具体的な違いは?

〈弁護士回答〉

例えば、皆さんがすぐイメージするアニメキャラクター「キティちゃん」。

「キティちゃん」というキャラクターはデザインですが、「服を着て頭にリボンをつけた二足歩行の歩く猫のキャラクター」だけであれば、アイデアです。

デザインとして表現された「キティちゃん」そのものを真似して、同じようなデザインを自分のデザインとして利用したり公表したりするとそれは「デザイン」を模倣したことになるので、「キティちゃん」の著作権者の著作権を侵害したことなります。

しかし、「服を着て頭にリボンをつけた二足歩行の歩く猫」はアイデアなので、そのアイデアを真似してオリジナルのキャラクターを作ったり、絵を描いて公開することは自由です。

Q3:では今回相談があった事例は、「デザイン」と「アイデア」のどちらにあたるのでしょうか。

〈弁護士回答〉

もちろん、今回の対象となる商品などは「デザイン」の側面も「アイデア」の側面の両方があります。

そのため、ポイントとしては、「デザイン」と「アイデア」のどちらが共通するのか(何を真似したのか)という点が重要です。

今回は、見た目の「デザイン」つまり表現された「デザイン」が共通するのではなく、どのような素材と素材をどのように組み合わせてアイテムを作るかという「アイデア」が共通するケースに当たります。

つまり、少なくとも「デザイン」が共通するとは言えないので、著作権侵害が問題になるケースではないと思います。

デザインの著作権は絵画、写真、彫刻など、芸術活動を伴う芸術性あるものに発生するものです。

これは、芸術的に高度か高度ではないとかいう問題ではなく、「創作的に表現されたもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものが、著作物と定義される」という意味です。

この定義にあたれば、子供の描いた絵でも著作物になります。

そういう観点からは、仮に創作的に表現されたものでも工業品や実用品の場合は意匠権の対象ですので、芸術的価値が高い場合じゃないと著作権で保護されない、といわれています。

また、著作権を侵害して違法となるには、元の著作物を真似することも要件になっています。仮に、たまたま似たものを創作したのであれば著作権侵害にはなりません。

世の中にあるすべての商品を把握し、似たものがないか確かめてから商品を作るなんて不可能ですよね。

また、特許などは審査を経て登録するので分かりやすいですが、仮に他人の作品などを真似して「パクリだ」と言われたとしても、

そもそもその作品が「著作物」にあたるのか、真似した行為が「著作権侵害」に該当するかなどについては、訴訟で争い、原告が勝って初めて「著作権侵害だ」となります。

著作権を侵害しているかどうかは訴訟で決まるものなので、厳密にいうと、訴訟で判決が確定するまでは「著作権侵害のおそれがある」という状態なだけですね。

Q4:「商標登録」「意匠登録」というのは?

〈弁護士回答〉

著作権では保護されないものに対しての権利保護については、商標登録や意匠登録というものがあります。

有名なキャラクターやブランドなどは商標登録、工業製品は意匠登録されており、権利が守られています。商標登録・意匠登録されたものに関しては、商品として真似することはできません。

登録されている有名キャラクターを使った手作りアイテムを販売した場合、訴訟されると負けると思います。

Q5:仮にAさんが商標登録・意匠登録をしていたら、Bさんは違法になるのでしょうか?

〈弁護士回答〉

そもそも今回の件はデザインやブランドではなく、あくまで単なる「アイデア」なので商標登録や意匠登録自体ができず、論外という感じなのですが…。

もし仮にAさんが何かのブランドを商標登録・意匠登録していて、Aさんのブランドを商品につけて、似たようなデザインのものをBさんが作って販売したら、それは違法です。

また、もし今回仮に、Aさんの素材と素材をかけ合わせる「アイデア」について、物の発明であるとして特許登録していたら、この「アイデア」を真似して同じような商品を作って販売すると、特許権侵害として違法です。

Q6:安易に「権利侵害だ!」って騒いだらダメってことですね!

〈弁護士回答〉

まあ、「著作権侵害だ」と感じて誰かに伝えること自体は自由です。

ただ、先ほど著作権侵害は訴訟で結論が出るまで未確定だとお伝えしましたが、結果的に著作権侵害にあたらないものを、「あの商品は著作権侵害だ。買わないほうが良い」とSNSで流したりすると、事実ではないことを広めたとして、営業妨害で逆に訴えられる可能性はありますし、不正競争防止法違反にも該当する可能性がありますね。

本当にお店に行ってサービスや味に不満があったため「あのラーメン屋のサービスはいまいちだった」と口コミすること自体は表現の自由として認められても、そんな事実はないのに「あのラーメン屋にはゴキブリが出た」と嘘を広めるのは違法な営業妨害になると同じなので。

Q7:「パクリ」というのは著作権侵害とはニュアンスが違いますよね?

〈弁護士回答〉

そうですね。本当に著作権を侵害している事例は別にして、「パクる」は「真似をする」「参考にする」を、悪意をもって表現している言葉だと思います。元々は「盗む」という意味なので。

また、法と倫理は違います。あくまで今話しているのは違法か違法じゃないかのこと。違法じゃないからといって必ずしも倫理上許されるわけではないし、似たようなアイテムが真似されて制作されることに、倫理的な面で抵抗を感じる方はいるでしょう。それは個々人の感情の話で、誰が正しい、誰が間違っていると裁けるものではありません。

みんなで世の中を良くしていきたい♡

「デザイン」と「アイデア」の違いや、著作権のことについて、弁護士の先生から説明してもらった内容はこんな感じでした。

改めて、最初にいただいた質問に回答するならば、

「仮に真似したり、参考にしたりしていたとしても、法的な観点から、BさんはAさんの著作権を侵害しているとはいえない。いやだと思うのは自由だが、それによってBさんの活動を「パクリ」などとネット上で責めたり、糾弾する権利は誰にもない。」

となります。

そもそも、世界というのは、先人のいろいろなアイデアが集まって、今があるということを忘れてはいけないと思います。

ロイヤルアッシャー社の話になりますが、アッシャー社は、商業的に特許を取得していたダイヤモンドのカッティング技術を、世の中の発展の為に手放した過去があります。それによって、宝飾界は大きく成長しました。

覚えておきたいのは、権利を法的に主張するという美徳もあれば、権利を主張しないという美徳もあるということ。

(もちろん、法律的には問題ない模倣品を買わない美徳だってあります。)

みんなが当たり前にDIYしている、造花を飾ったイニシャルオブジェだって、ガーランドだって、もともとは海外の誰かが考えたもの。

最近流行りのカピスシェルの席札や、アゲートの席札だってそうです。

これらすべてが、「真似しちゃいけない!それは最初Aさんが作っていたものです!そのほかは全員パクリです!」と言われたら…。。

そもそもウェディングケーキだって作れないし、ベールだって身に着けられなくなる可能性すらあります。

あいまいな知識や言葉遣いで、現状の法律や事実に沿わない内容で事柄や人をジャッジして、他人に悪意を向けるのは注意しておきたいことです。

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